住まいレポート

予算・住宅ローン

住宅ローンで「借りられる金額」と「家計を維持しやすい購入予算」はどう違う?

住宅ローンの借入可能額と、生活費・貯蓄・将来支出をふまえた購入予算の違いを、計算例とともに解説します。

公開 2026年9月21日最終更新 2026年9月21日読了目安 7

この記事の要点

  • 借入可能額は金融機関が融資できるかを判断するための金額で、毎月の暮らしや貯蓄目標までは表しません。
  • 購入予算は、手取りから生活費・貯蓄・将来支出・保有費を差し引いて逆算します。
  • 購入価格だけでなく、金利上昇や収入減が起きた場合も同じ条件で確認することが大切です。

2つの金額は、そもそもの目的が違う

住宅ローンの借入可能額は、金融機関が申込者へどこまで融資できるかを判断するための金額です。一方、家計を維持しやすい購入予算は、住宅を購入した後も生活費や貯蓄を続けられるかを考えるための金額です。

そのため、住宅ローンの事前審査で示された金額と、実際に購入候補として考える価格は一致しないことがあります。両者を同じものとして扱わないことが、予算を考える出発点です。

比較する点借入可能額家計を維持しやすい購入予算
主な目的融資条件を満たすか確認する購入後の家計が続くか確認する
主な基準年収、返済負担率、他の借入、返済期間など手取り、生活費、貯蓄目標、将来支出、保有費など
見落としやすい点家庭ごとの支出予定は十分に反映されない実際の融資承認を保証するものではない

借入可能額は何を見て決まるか

金融機関によって審査基準は異なりますが、年収に占める年間返済額の割合は代表的な確認項目です。住宅金融支援機構のフラット35では、すべての借入を含む年間合計返済額について、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という基準を示しています。

ここでいう「すべての借入」には、住宅ローンだけでなく、自動車ローン、教育ローン、カードローン、分割払いやリボ払いなども含まれます。ただし、この基準はフラット35の利用条件の一つです。取扱金融機関や商品によって基準は異なり、基準内であっても融資が決まるわけではありません。

返済負担率の基本形

年間のすべての返済額 ÷ 年収 × 100

審査で使う年収や返済額の定義は、申込先の商品条件をご確認ください。

この式には、食費や教育費、毎年続けたい貯蓄額などは直接入っていません。したがって、返済負担率の条件を満たしていることと、購入後の家計に余力があることは別に考える必要があります。

購入予算は、手取りと毎月の支出から逆算する

住まいレポートの参考予算診断では、額面年収に一定の倍率を掛けるのではなく、手取り月収から毎月必要な支出を一つずつ差し引きます。

月額ローン返済に使える額

手取り月収 − 生活費 − 他の借入 − 貯蓄目標 − 将来支出 − 安全余白 − 管理費などの保有費

さらに、金融資産をすべて頭金にせず、生活費と他の借入返済の6か月分を生活防衛資金として残します。購入時の諸費用も購入価格の8%として見込み、入力した金利と、その金利が0.5ポイント上がった場合の2つから参考予算帯を出します。

これは住宅ローンの融資額を予測する計算ではありません。購入候補の価格を考える前に、家計側の条件を整理するための試算です。

手取り月収50万円の計算例

次の条件を例に、住まいレポートの計算式へ当てはめます。実際の結果は家族構成や支出予定によって変わるため、金額そのものではなく計算の順序をご覧ください。

手取り月収
50万円
金融資産
800万円
生活費(住居費を除く)
月22万円
年間の貯蓄・投資目標
72万円(月6万円)
これから増える支出
月3万円
管理費などの保有費
月3万円
住宅ローン金利
年1.50%
返済期間
35年

月額ローン返済に使える額

13.5万円

手取りから生活費、月6万円の貯蓄、将来支出、安全余白、保有費を差し引いた額

参考予算帯

4,390万円4,700万円

下限は金利2.00%、上限は金利1.50%で計算。購入諸費用8%を含めて逆算

この例では、金融資産800万円のうち、生活防衛資金132万円を残し、残りを頭金に使う前提です。貯蓄目標を増やす、教育費を多めに見込む、管理費や修繕積立金が高い物件を選ぶと、参考予算帯は下がります。反対に、支出を減らした結果だけでなく、その状態を返済期間中も続けられるかまで確認する必要があります。

購入価格を決める前に確認したい5項目

  1. 1

    額面年収ではなく手取りで考える

    税金や社会保険料を差し引いた後、実際に家計へ入る金額から始めます。

  2. 2

    住宅以外の支出予定を先に置く

    教育費、車、介護、旅行、継続したい貯蓄などを後回しにしません。

  3. 3

    ローン以外の保有費を加える

    管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料を月額へ換算します。

  4. 4

    現金を残す

    諸費用を含めても、生活防衛資金が手元に残る頭金にします。

  5. 5

    前提が変わった場合も見る

    金利上昇、収入減、保有費増加が起きた場合の月々の不足額を確認します。

よくある質問

事前審査で提示された上限まで借りてもよいですか?

事前審査の結果だけでは判断できません。生活費、今後も続けたい貯蓄、教育費などの将来支出、管理費・修繕積立金を差し引いた後も家計が続くかを別に確認する必要があります。

年収の何倍までなら購入できますか?

年収倍率だけでは家計ごとの差を反映できません。同じ年収でも、手取り、生活費、他の借入、家族構成、貯蓄目標によって購入予算は変わります。

管理費と修繕積立金も予算に含めますか?

含めて考えます。住宅ローン返済とは別に毎月支払うため、住居費に使える額から先に差し引いておく必要があります。固定資産税や保険料も月額へ換算して加えます。

出典と計算条件

記事中の計算例は住まいレポートの計算エンジンから生成しています。税制、金利、融資条件は変更されるため、契約前に金融機関や専門家へ最新条件をご確認ください。

この記事について

住まいレポート編集。住宅購入の判断条件を、計算式・前提・データの限界とともに整理しています。個別の借入可否や金融商品の契約条件は、金融機関へご確認ください。